初盆、母、そして提灯
今年、我が家は父の初盆を迎えます。
そのため、家族で先週蒲郡の老舗提灯屋、ひな庄さんに置き提灯と迎え提灯を買いに行きました。
母から「亡き父を迎えるために置き提灯とかけ提灯が必要だから用意して」と言われた時、
どのような物があるのか、
値段はいくらぐらいするのか全く分からなかったので、まずネットで検索してみました。
1万円程度からあることはわかりましたが、サイズや素材、色味など、実際に見て購入するわけではないので、
市内の仏具店を2〜3軒回って実際の提灯を見ることにしました。
どの仏具店も大体同じような値段で、似たような提灯が並んでいました。
しかし、唯一、蒲郡で提灯を作っているひな庄さんの提灯は明らかに違いました。
見た目も質感も、そこには故人を偲ぶ道具としての提灯があり、
見ていて先祖を供養するための道具なんだと感じました。
そこで、実際に母に提灯を見て選んでもらおうと思い、兄弟全員で母を連れて先週の土曜日にひな庄さんに行ってきました。
背中を丸めた母が、
お店で一つ一つ丁寧に置き提灯を見ている姿を少し離れて眺めていて、
1年前に亡くなった父を迎える初盆には、
父が喜んでくれるように、
我が家を明るく照らしてくれる良い提灯で迎えたいという母の想いが伝わってくるようでした。
私などは、何かを手にしようとするとすぐにネットで検索して、
1年に1回しか使わないものなんて安いものでいいやと値段の安さに価値を見出そうとしてしまうのですが、
逆に年に一回しか使わないものだからこそ、
職人の作った手作りの温かみや心の籠ったもので先祖を供養したいと思う母の想いを感じて、
今回もまた母から学ばせてもらいました。
母の選んだ提灯に家紋を入れてもらい、完成した提灯を昨日受け取り、実家の母に届けに行きました。
92歳になる母とは、できる限り会う理由を作って話をしたいと思っています。
母の笑顔を見て、たわいない話をすることが私にとっての幸せです。
最近、そんな時間があとわずかなんだと感じるようになりました。
しかし、この限られた時間は、私自身に与えられた時間全体を見直すきっかけにもなっています。
「ああ、限られた時間なんだ」と意識することで、
自分の今後の行動や現在の行動が変わるのだと実感しています。
今を大切にしたい。
やりたいことをやろうと思います。
そして、やれること、やりたいことをきちんとやれるように、そのための準備もしたいと思っています。
限られた時間を意識しながら、今母と話すことで、精一杯生きることの大切さを再確認する一日でした。
(PS)
今回置き提灯は家紋を入れて貰ったのですが、ひな庄さんでは全て手書きで行っています。
家紋ってデザインを細かく分類すると3万種類以上の家紋が存在すると言われています。
竹ひごを輪の形にした骨に和紙を貼って覆う「火袋(ひぶくろ)」に家紋をどうやって描くのか?
凄く興味があったので質問してみると、その手書きの仕方も丁寧に説明してくれました。
まず、家紋のデザインを正確に描くために、下絵を和紙に写し取ります。
この下絵は専用の薄い和紙を使って写し、正確な位置に置かれるように細心の注意が払われます。
次に、筆を使って墨で輪郭を丁寧に描いていきます。
この作業は非常に繊細で、職人の高度な技術が求められます。
描いた後は、墨が乾くまで慎重に保管され、乾いた後にさらに色を加えたり、必要な修正を行います。
職人は、この一連の手順を長年の経験と技術で完璧にこなしています。
こうして、一つ一つの家紋が丁寧に描かれた置き提灯が完成するんですね。
手書きならではの温かみと美しさがあり、置き提灯は特別な雰囲気を持っています。
このような伝統技術が今も受け継がれていることに感謝しつつ、家紋入りの置き提灯を大切にしていきたいと思いましたね。
守田 智司
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