25歳の一歩、60歳の二歩目
娘の存在や還暦を迎えたことが今回の旅の大きなきっかけとなったが、もう一つの重要な動機は、私が海外で得た経験を子供たちに伝えたいという思いだ。
私はこの蒲郡の地で、20年以上にわたって小さな学習塾を経営してきた。
これまで数多くの子供たちと出会い、教室の中で勉強を教えることに喜びを感じてきた。
だが最近、ただ教科書通りのことを教えるだけでなく、自分自身をアップデートし続けることが本当に大切だと強く感じるようになった。
海外に行き、現地の空気を吸い、異文化や人々と直接触れ合うことで得られる感覚や学び。
それを自分の生徒たちに伝えられることこそが、私が塾の先生をやっている意味の1つなのだと思う。
だって、生徒たちに伝えたいじゃないですか!
たとえば・・・
英語の教科書には、入国審査の時に
「What is the purpose of your visit?(あなたの入国の目的は何ですか?)」
と聞かれる場面がよく出てくるけど、
実際に今、シンガポールやマレーシアなどの東南アジアの国々では、入国審査は大きくデジタル化されている。
例えばシンガポールでは、入国する前に、入国前3日以内にシンガポール入国管理庁(ICA)のウェブサイトで電子入国カードを提出する必要がある。
そして、入国審査では、顔と目の虹彩を使った生体認証が導入されていて、
もう人と対面でのやり取りはほとんどなく、自動入国審査ゲートを使ってスムーズに入国できる。
こうした現実は、教科書では伝えきれない部分なんですよね。
だからこそ、自分が実際に経験したことを、生徒たちに「生の体験」として伝えていきたい。
教室で勉強を教えるだけでなく、自分自身の経験を通じて生徒たちに新たな視野を提供することができる。
それが私にとって非常に喜びであり、やりがいなのだ。
実は、私が25歳の時、初めて日本を飛び出してアメリカのアトランタで大工の経験をした。
その一歩が、今の私の原点とも言える。
当時の経験は、日本に戻ってから塾の先生としての人生を歩む上で、大きな影響を与えた。
アメリカで感じた異文化や価値観の違い、そこでの生活を通じて得た学びを、帰国後、多くの子供たちに語ってきた。
あの経験があったからこそ、私の教育のスタイルには深みが生まれたのだと思う。
今また、シンガポールや娘が留学しているマレーシアを訪れることで、自分の中に新しいインプットを加え、それを生徒たちに還元できることが楽しみで仕方がない。
現地で感じたこと、見たこと、経験したことを、生徒たちにどう伝えようかと思うと、ワクワクする。
これが60歳になった私の二歩目。
この新しい挑戦が、塾の先生としての私にとって新たなステージになるだろうし、それを通じて生徒たちにも刺激を与えたい。
自分の経験をただの個人的なものにとどめず、次世代に伝えること。
これが私にとっての本当の「生きた証」なのだろう。
守田 智司
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