学習道場 岩沢学院に授業見学に行く【後編】

 

 

学習道場 岩沢学院に授業見学に行く【前編】

 

岩澤学院の授業見学後編です。

 

19時になると、岩澤先生が「じゃあ始めます」と静かに宣言し、ビートルズの「Do You Want to Know a Secret?」の歌詞プリントが生徒たちに配られました。

 

プリントには左側に歌詞が、右側にはその歌詞の一部が穴埋め形式で載っており、

 

先生が言葉をかけると同時に生徒たちは即座にプリントを半分に折り、静寂が教室を包み込みました。

 

この動作の一糸乱れぬ流れこそ、岩澤学院の日常の光景そのものであり、まるで空気の一部として染みついているかのようです。

 

その様子に、私はすぐに驚きと共に感動を受けました。

 

You’ll never know how much I really love you”

 

“I’m in love with you”

 

といったフレーズが耳に届くと同時に、カリカリと鉛筆を走らせる音が教室に響きました。

 

 

このディクテーション形式のリスニング練習は、

 

英語を耳で聞き取って即座に書き取ることで、リスニング力と書き取り精度の向上を目指す方法です。

 

音の繋がりや発音の微妙な癖も意識するため、英語のリズムやイントネーションの理解にも繋がります。

 

実際にビートルズの曲を用いたディクテーションを、

 

日常の学習風景として取り入れている場面を初めて目にした私は、

 

心の中で「ビートルズを使うのか・・・」と驚きを隠せませんでした。

 

一心不乱に鉛筆を走らせる生徒たちの姿。

 

そして同時に、塾という場所が持つ自由さを改めて実感しました。

 

進学塾の先生である私自身も、過去の指導法やカリキュラムにとらわれがちでしたが、

 

個人塾の自由度を目の当たりにして、

 

頭を殴られたような衝撃を受けました。

 

良いと判断する方法を自由に取り入れ、生徒の成長に繋げるこの柔軟なアプローチが、個人塾の真髄なのだと改めて気づかされたのです。

 

そして、私の驚きはこれだけでは終わりませんでした。

 

ディクテーションが終わり、

 

小学生が帰った後、

 

中学生たちが席につき、

 

さらなる新しい体験が私を待ち受けていたのです。

 

 

「問いかける」という指導法の奥深さ

 

中学生たちは、ディクテーションの丸付けが終わると、次に自分の学習を再確認するように、前回の内容を復習し始めました。

 

自分のノートや教科書、

 

辞書を広げ、

 

各々が集中して学習に取り組むその姿に、圧倒されました。

 

一人ひとりが自分のペースで進め、理解が深まるごとに、先生のところへと歩み寄ります。

 

ある生徒は質問し、

 

別の生徒は解答の確認を依頼し、

 

また他の生徒は教科書の音読をし、

 

さらにそれを訳して声に出して練習する。

 

隣で音読する生徒がいても、

 

辞書を引いている生徒がいても、

 

互いに全く動じることなく、

 

それぞれが目の前の学びに没頭している姿がとても印象的でした。

 

その間も、岩澤先生の前には順番待ちの生徒たちが並びます。

 

先生は生徒たちに次々と発問を投げかけ、

 

「ここを気をつけないと同じミスを繰り返すよ」

 

「言葉の順番を考えて」

 

「このgiveの意味は?」

 

「辞書で調べてみよう」など、丁寧かつ的確な発問が続く。

 

ときには、「どうしてこの言葉を使っているんだろう?」と、生徒の思考をさらに深める質問も投げかけられる。

 

これらの発問を通して、生徒が自分で考え、自らの学びを構築していく過程を、

 

先生は見守り、支える。

 

私は帰宅後、岩澤先生が行っていた発問の仕方を自分でも試みましたが、同じように生徒に導きを示すことの難しさを痛感しました。

 

生徒に直接答えを教えるほうが、確かに手っ取り早い。

 

しかし、岩澤先生が意図しているのは、答えそのものを教えるのではなく、生徒が自ら答えにたどり着くプロセスを支えること。

 

発問を通して、考える力を引き出し、答えを見つけるまでの道筋を生徒が自ら探り当てるように促すのです。

 

これこそが、岩澤先生が長年かけて積み重ねてきた教育の姿勢であり、

 

その発問の技術は、まるで一枚一枚の薄い紙を重ねていくかのように、

 

精緻に、そして深く培われたものだと感じました。

 

この「発問の妙技」こそが、生徒が自立して考え、学ぶ力を育むすべてであると思ったのです。

 

同時に、私は「学ぶとは一体何なのか?」と自問しました。

 

岩澤先生が、ただ答えを与えるのではなく、生徒自身が答えを導き出せるように工夫を凝らしているその姿勢に、学ぶことの真髄が詰まっている。

 

 

「学ぶ」ことの本質に触れて

 

 

生徒たちが、周りに左右されず、

 

ただ目の前の課題に没入し、

 

集中し続ける姿を見たとき、

 

「学ぶとは何か?」という問いが自然と浮かんできました。

 

日常、自分の塾で教えていると、そうした疑問に立ち止まることはなかなかありません。

 

しかし、別の塾の光景を客観的に目にすることで、深く考えさせられたのです。

 

 

 

 

鉛筆を走らせ、「できた」「わかった」と喜ぶ瞬間、

 

もしくは「まだわからない」ともう一歩踏み込んで考えを深め、調べ続ける生徒たち。

 

こうした学びの姿勢には、まさに「美しい」という言葉がふさわしいと思いました。

 

これは、麻布学院の花山先生が語った「一生懸命学ぶ姿は美しい」という言葉を改めて実感する瞬間でもありました。

 

岩澤先生が実践する

 

答えを与えるのではなく、問いかけて導く」という教育は、

 

表面的にはシンプルに見えても実際は非常に難しいものでした。

 

それは、子どもが自らの力で考え、答えにたどり着けるようにするための支え方です。

 

長年の積み重ねで磨かれたこの指導の核となる技術に、強く心を動かされました。

 

これこそが、生徒の「自立学習」を支える指導方法の真髄なのだと理解しました。

 

この経験を通して、私ももう一度、塾の先生としてその立場に立ち、自らを振り返り、挑戦し続けたいと思います。

 

生徒が「美しい学びの姿」を見せてくれるような、そんな塾をこれからも作り上げていきたいと強く思いました。

 

 

最期に

 

岩沢学院での授業見学を通じて、私は「学ぶ」という行為が持つ真の美しさに触れることができました。生徒たちが周囲に惑わされることなく、自分の学びに没頭する姿、そのひたむきさが教室に静かな熱気を生み出していました。まさに、花山先生が仰っていた「学ぶ姿勢の美しさ」を目の当たりにした瞬間でした。

 

岩澤先生が実践される「問いかけて導く」という指導方法は、生徒一人ひとりに考える力を育て、答えにたどり着くための道筋を自ら切り開かせるものでした。長年の経験から培われたこの指導の妙技に触れることができたことは、私にとって大きな財産となりました。

 

改めて、見学を快く承諾し、惜しみなくその指導法を示してくださった岩澤先生に心より感謝申し上げます。先生の塾での光景は、ただ「知識」を教える場ではなく、生徒が自分の力で学びを深め、成長していく場であることを強く感じさせられました。

 

この経験を自分の塾でも生かし、生徒たちが自由に学び、自分の道を切り開く力を育む場を作り上げていきたいと思います。岩沢学院で得た刺激と学びを胸に、今日からまた新たな一歩を踏み出します。

 

 

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塾の先生として、教育者として35年間変わらず子供達に伝えてきた想いがあります。できるだけ多くの子供達に、この『NEVER STOP LEARNING』学ぶことをやめないで!というメッセージを届けたくて、今回映像クリエイターに撮影を依頼して、MV(メッセージビデオ)を作成しました。

 

お母さん、お父さん。保護者の皆さん!是非、お子さんと一緒にこのMVを見て頂ければと思います。そして、見て頂いた後に、お子さんと一緒に「なぜ、勉強するのか?」お子さんの未来を変える、可能性を拡げるための「学び」の本質について、話をする機会を持って頂ければと思います。

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるハイブリット学習塾/未来義塾の塾長。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。