受験生の素地

 

夏休みも残りわずか10日となった。

 

毎朝8時半頃、高3生のO君から届く決まったLINEが、今日もスマートフォンの画面に表示される。

 

「9時から午後2時まで、自習室を利用します。」

 

それに「おはようございます。夏休み、残り10日間頑張ってね。」と返信するのが、私の日課となっている。

 

やがて9時となり、自習室のオートロックが解除される。

 

O君が「おはようございます」と声をかけながら入ってきて、そのまま机に向かい、黙々と勉強を始める。

 

まるで機械のように、彼は微動だにせず、ただひたすらに、机に向かって問題集や参考書に取り組むのだ。

 

午後2時になると、一旦彼は席を立ち、自宅に戻って昼食を摂る。

 

そして3時過ぎには、再び自習室へ戻ってくる。

 

このサイクルを彼は、この夏休み中、一日も欠かさず続けている。

 

私が「お腹は空かないのかい?」と尋ねると、

 

彼は笑いながら「先生、お腹あまり減らんじゃね」と答える。

 

昼食を摂ると眠くなるのが嫌なのだろう。

 

2時過ぎに一度帰って食事をするのは、彼の夏休みのリズムなのだ。

 


 

午後3時から夜9時、時には9時半まで、彼はまた机に向かう。

 

朝9時から夜9時過ぎまで、約12時間、彼はその時間をひたすら勉強に費やしている。

 

その姿を見ていると、ふと彼が中学3年生の頃のことを思い出す。

 

当時、彼は野球部に所属していた。

 

夏の大会が7月下旬に終わると、彼は大きく変わった。

 

毎日、自転車に乗って汗をかきながら、自習室に通い続けたのだ。

 

それは夏休みが終わった後も続き、結果として彼の通知表の成績は、中学3年生になってから9も上がった。

 


 

今、彼が高校3年生となり、大学受験に向けて同じように勉強に励む姿を見ていると、改めて思う。

 

受験生だからといって、夏休みに毎日12時間の勉強を続けられるものだろうか?

 

それは決して急にできることではない。

 

彼が中学生の頃から積み重ねてきた努力、その「素地」が今の彼を支えているのだと、私は強く感じる。

 

「素地」とは、文字通り、元となるものや下地である。

 

中学生の頃に高校受験を通じて、毎日自習室に通い、コツコツと勉強する習慣を身につけた彼。

 

そうした「素地」が、今、大学受験という新たな目標に向かう彼の原動力となっている。

 

中学生のうちに毎日机に向かうこと、高校受験に向けてコツコツと勉強を続けること。

 

それは、3年後の大学受験においても、大きな影響を与えるものだと、彼の姿を見て改めて実感した。

 

 

 

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるハイブリット学習塾/未来義塾の塾長。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。