娘の通うマレーシアAPU大学(Asia Pacific University of Technology & Innovation)を訪問!塾長が体感したこととは?

 

昨日は、日本がスーパーマジョリティからスーパーマイノリティへと変わりつつある現状について考えました。

 

世界の中で日本の人口は約1.6%に過ぎません。

 

人口比率の視点で見ると、我が国は確かに小さな存在です。

 

しかし、経済的な存在感は依然として高く、2024年現在、GDPは約4.1兆ドルで世界第4位を維持しています。

 

それでも、中国やインドなどの国々が急速に経済成長を遂げ、日本はかつての第2位から4位に後退しました。

 

これは、少子高齢化や労働力の減少といった内的要因が大きく影響しています。

 

経済以外の視点で見ても、イノベーション指数(GIIでは日本は世界第13位にランクされており、トップ5に位置するスイスやスウェーデン、アメリカ、イギリス、シンガポールと比べると、ビジネスの洗練度や創造的な成果において改善の余地があります。

 


イノベーション指数(Global Innovation Index, GII)とは
  • 世界知的所有権機関(WIPO)とコーネル大学、INSEADビジネススクールが共同で発表するランキングで、各国のイノベーション能力や研究開発のパフォーマンスを評価します。この指標は、特許出願数、研究論文の発表数、教育水準、インフラ、経済環境など多岐にわたる要素を総合的に評価します。
  • 未来における技術革新や経済成長のポテンシャルを示すため、非常に重要な指標とされています。

 

また、グローバル競争力指数(GCIでも第6位にとどまっており、デジタル経済の競争力では特にデータポータビリティの分野で113位と、先進国としては大きな課題を抱えています。

 


グローバル競争力指数(Global Competitiveness Index, GCI)とは
  • 世界経済フォーラム(WEF)が発表するランキングで、各国の経済の競争力を評価します。労働市場の効率性、金融市場の発展度、技術革新、インフラの質などが評価基準です。国の競争力が高いほど、経済成長や社会発展の可能性が高いとされています。

 

日本は、人口の減少と少子高齢化という未曾有の課題に直面しながらも、経済力においては依然として世界のトップクラスに位置しています。

 

しかし、これまでの成功に甘んじている時代は終わりを告げ、これからの10年は、イノベーション力の強化とデジタル化の推進が不可欠です。

 

少子化の波が押し寄せる中、教育や技術革新に対する戦略的な対応が求められています。

 

私自身、今後の10年間で日本国内における格差社会がさらに深刻化していくと予想しています。

 

特に次世代を担う若年層の人口減少がもたらす社会構造の変化は、これまで経験したことのないものとなるでしょう。

 

日本という島国が、人口減少という新たな時代をどのように乗り越えていくのか?

 

次の産業を担う世代の減少に対して、どのような戦略を描き出すのかが、これからの未来を左右する重要な鍵となります。

 


 

そんな中、先週、娘が学んでいるマレーシアのAPU(アジアパシフィックユニバーシティ)を見学しました。

 

言葉ではうまく表現できないのですが、想像を超えた多様性や、多くの留学生たちが切磋琢磨しているその学びの環境に圧倒され、新しい時代の息吹を強く感じました。

 

先ほど述べた、これからの日本社会が直面する大きな変革やイノベーション力の強化、デジタル化の推進といった課題に対して、まさにヒントとも言えるようなものを、この大学で垣間見ることができたのです。

 

特に、異なるバックグラウンドを持つ学生たちが一つのキャンパスで学び合い、互いに刺激を受けながら新しい価値を創造している様子は、これからの日本が目指すべき姿の一端を示しているように思えました。

 

少子高齢化の波に押されながらも、教育や技術革新を通じて未来を切り開くためには、こうした国際的な視点や環境が重要であり、その可能性を実感することができました。

 

 

次に、この大学見学で私が体感したことについて、お伝えします。

 

 

ITを専攻し6か国語を操る、娘の友人がAPUを案内してくれた!

 

先日、娘が在籍するマレーシアのAPU(Asia Pacific University)を訪れました。

 

APUはIT系プログラムに特に強みを持つ理系の大学で、VR、AR、ゲーム開発、アニメーション、Eビジネス、デジタルマーケティングなど、多岐にわたる分野で高い評価を受けています。

 

 

ちょうどオープンキャンパスの日だったため、娘の友達であるインド人の男子学生が大学の案内をしてくれました。

 

彼が6ヶ国語を話すことができると知った時には、本当に驚きました。

 

英語はもちろんのこと、ヒンディー語、そして日本語までも流暢に話し、理解することができるのです。

 

彼の説明を英語で聞いていた際、語彙力の低い私にとって半分も理解できなかったのですが、最後に日本語で会話をすることができ、私の疑問もすっかり解消しました。

 

彼はIT分野を専攻しており、最新の技術や知識を学びながら、多言語を駆使して異文化の友人たちとコミュニケーションを取っています。

 

このような学生が、グローバルな視野を持ち、多文化共生の環境の中で成長していることに感心しました。

 

そして、このような人材が、今後日本の学生たちと国際社会で競い合うことを考えると、教育改革の必要性が一層実感されます。

 

 

 

 

VRは「Virtual Reality」の略で、「人工現実感」や「仮想現実」と訳されます。

 

これは「表面的には現実ではないが、本質的には現実」という概念を内包しており、まるで現実と錯覚するような体験を提供してくれます。

 

 

 

 

娘もVR研究を行うラボで初めてVRを体験し、その新しい世界に夢中になって楽しんでいました。

 

写真には、まるで現実の出来事に没頭しているかのような彼女の姿が映っており、その魅力に引き込まれている様子が伝わってきます。

 

 

 

これからの日本人学生は、こうした多才なグローバル人材と競争していかなければなりません。

 

そのためには、私たちが教育の現場でどのような戦略を立て、どのような資源を投じていくかが重要です。

 

日本国内に留まるだけでは、世界の変化に対応できない可能性があります。

 

 

国際社会の中での日本の役割を再定義し、教育や技術革新を通じて、学生がグローバルな舞台で活躍できる力を育てることが求められています。

 

娘の友達の姿を通じて感じたのは、学びの場が多文化共生の環境であることの意義です。

 

今の日本に必要なのは、このような環境を整え、学生が異文化の中で多様な価値観を学び、成長できるよう支援することだと思います。

 

 

MORITA先生
アヒル君、丁寧なキャンパス案内をありがとうございました。最初は娘にお願いしようと思っていましたが、あなたに案内してもらえて本当に良かったです。あなたの話す英語の半分も理解できていませんでしたが、ゆっくりと熱心に説明してくれたおかげで、各ラボについて理解することができました。

 

案内が終わった後に6ケ国語が話すことができ、日本語を理解し、日本語も話すこともできると知ってとても驚きました。また、あなたの物事に対する興味関心の高さや、他者を敬うホスピタリティを本当に感じ、素晴らしい思い出になりました。ありがとう!

MORITA先生

Thank you very much for the detailed campus tour. At first, I was thinking of asking my daughter to show me around, but I’m truly glad that you were the one who guided me. I couldn’t understand even half of the English you spoke, but thanks to your patient and enthusiastic explanations, I was able to understand each lab.

After the tour, I was amazed to learn that you speak six languages and can not only understand but also speak Japanese. I was truly impressed by your high level of curiosity and interest in various things, as well as your hospitality and respect towards others. It was a wonderful experience. Thank you!

 

 

 

APUを見学してみて!

 

今回、アジアパシフィック大学(APU)を訪れて改めて感じたのは、この大学がマレーシアを代表するテクノロジー系の私立名門大学であるということです。

 

特にIT分野において非常に強みを持っており、その分野のスペシャリストを育てるための環境が整っています。

 

APUには、東南アジア諸国を含む世界130か国から留学生が集まっており、全学生の約半数が留学生という点で、国際的な大学として世界的にも知名度が高いと感じました。

 

キャンパス内のIT系ラボには、至るところにパソコンが並べられており、技術系教育に対する徹底した取り組みと、それを支える充実した環境が印象的でしたね。

 

 

 

現在、学生数は約13,000人ですが、その中で日本人学生は約100人程度と少数派。

 

このことから、日本人が他の日本人学生とつるむことなく、他国の学生と積極的にコミュニケーションを取りたいと考える学生にとって、APUは真の国際的大学と言え、非常に適した学びの場だと思います。

 

 

キャンパスを見学していると、新しい校舎が建設中であり、今後もさらに大学が発展していくことが予感されました。

 

APUはIT分野に特に強い大学ですが、国際関係、ビジネス、経営、会計などの学部も提供しています。

 

しかしながら、文系学部に関しては施設や環境が整っているかどうかは疑問に思う部分もあり、実際にIT系が圧倒的に強い印象を受けました。

 

 

APUは、クアラルンプールの中心部であるKLCCから約17〜20km離れた「Bukit Jalil(ブキ・ジャリル)」という場所にあります。

 

ここは、マレーシア政府がテクノロジー推進地区として設立した「テクノロジーパーク・マレーシア」の中心を担うエリアで、IT系の企業や政府機関のIT関連施設が多く集まっています。

 

そのため、非常に静かで落ち着いた雰囲気があり、学業に集中できる環境が整っています。

 

治安も非常に良く、安心して学べる場所だと感じました。

 

 

ただし、クアラルンプールのダウンタウンからは車で30分以上、場合によってはそれ以上かかることもあり、電車で行く場合はLRTを利用しても1時間以上かかります。

 

そのため、生活の利便性という面では少し不便さを感じることもあるかもしれません。

 

実際に移動に時間がかかるため、ダウンタウンへのアクセスが頻繁になると少々面倒に感じることもありますが、慣れてしまえばそれほど大きな問題ではないかもしれません。

 

 

 

私も現地でいくつか電車を利用しましたが、路線が複雑で時間がかかる印象を受けました。

 

Grab(タクシー)の利用は日本と比べて料金が安く、利便性も高いですが、頻繁に使うと生活費が増加してしまうため、注意が必要です。

 

これらの点を考慮すると、生活面での利便性を重視する人にとっては、APUの立地が少し不便に感じられるかもしれません。

 

特にダウンタウンへのアクセスが重要な場合は、その点を理解した上で生活を考える必要があるでしょう。

 

 

 

 

グローバル化のための3つの教育課題

 

APUを見学して、日本の教育がグローバルな視点を持つために次の3つの課題を克服する必要があると思いました。

 

グローバル視点と多文化理解の欠如
日本の教育は、国内の視点に偏りがちです。国際的な視野を広げるために、留学プログラムの充実や国際協力に関する授業の強化が必要です。

 

イノベーション教育の強化
創造的な思考を促す教育や、実社会での問題解決に取り組む機会を増やし、学生が主体的に考え行動する力を育むことが重要です。

 

デジタル教育とICTスキルの向上
デジタルリテラシーを高め、プログラミング教育やデジタルツールの活用を進め、学生が新しい技術を使いこなせるようにする必要があります。

 

 

 

 


 

でも、これらを実現するためには容易ではありません。

 

私自身、娘をカナダやマレーシアに留学させ、その費用の負担を痛感しました。

 

現在の留学には多大な費用がかかり、多くの家庭にとって大きな経済的負担となっています。

 

国として留学支援制度を整備し、優秀な学生が金銭的な制約を受けずに海外で学べる環境を整えることが必要です。

 

例えば、シンガポールでは・・・

 

優秀な学生が海外留学を通じて国際的な経験を積むための奨学金制度が整備されています。

 

代表的なものとして、シンガポール政府が提供する「Singapore-Industry Scholarship (SgIS)」があります。

 

この奨学金は、シンガポールの戦略的分野で貢献する意欲を持つ学生を支援するもので、大学での学業成績やリーダーシップ経験が優れたシンガポール国民が対象です。

 

奨学金を受け取る代わりに、留学後に一定期間(通常2~3年)の間、シンガポールの指定された機関で勤務する義務が課されます。

 

例えば、留学が2年以上残っている場合は最大6万シンガポールドル(約500万円)の支援を受け、その後3年間の勤務を行います(Ministry of Education (MOE))

 

また、公共サービス奨学金(PSC Scholarships)もあり、こちらは政府や公共機関でのキャリアを目指す学生に提供され、修士号の取得や帰国後の仕事体験を通じて、公務員としての資質を磨きます。

 

これらの奨学金制度を通じて、シンガポールは優秀な学生に海外での学びの機会を提供し、帰国後に国の発展に貢献してもらうことを目指しています。

 

日本もこのような制度を参考に、グローバルな人材育成を図るべきかもしれません。

 

 


 

最後に・・・

 

日本が少子高齢化やデジタル化の遅れという課題を抱える中、教育とイノベーションの強化が求められます。

 

グローバルな視点を持ち、世界で活躍できる人材を育成するためには、異文化理解や多言語教育、留学支援制度の充実が必要です。

 

日本の未来を見据え、教育改革を進める意義を感じました。

 

 

 

 

ちょこっとメモ!

 

マレーシアにある「APU(Asia Pacific University of Technology & Innovation)」と、日本の大分県にある「APU(立命館アジア太平洋大学)」は、名前は似ていますが、まったく別の大学です。

 

以下、それぞれの大学について説明し、違いを整理します。

 

APUAsia Pacific University of Technology & Innovation

所在地: マレーシア、クアラルンプール

設立年: 1993年

大学の特徴:

テクノロジーとイノベーションに特化した教育を提供する大学。

コンピュータサイエンス、エンジニアリング、ビジネス、デザイン、メディアなどの分野において多彩なプログラムを提供しています。

国際色豊かで、世界中から多くの留学生が集まっています。マレーシア国内では、特にIT関連の教育において高い評価を受けています。

現代の産業ニーズに対応する実践的なカリキュラムを組んでおり、学生のキャリア形成に力を入れています。

 

 

APU(立命館アジア太平洋大学)

所在地: 日本、大分県別府市

設立年: 2000年

大学の特徴:

立命館大学が設立した国際大学で、日本国内でもユニークな多文化環境を提供しています。

国際経営学部(APM)とアジア太平洋学部(APS)の二つの学部があり、国際経営、文化、社会、政治などの広範な分野について学ぶことができます。

授業の約半数は英語で行われ、学生の約半分は外国籍であるため、学生間での多様な文化交流が活発です。

国際交流やボランティア活動、インターンシップなど、学外活動も盛んで、グローバルな視点を養うことに重点を置いています。

 

 

両校ともに国際的な環境を持っていますが、日本のAPUは日本国内で国際的な教育を展開する点で、日本の学生にとって特に魅力的です。

 

マレーシアのAPUは、東南アジアを中心とした多くの国から留学生を集め、より技術志向の国際的な教育を行っています。

マレーシアのAPUはマレーシア国内の教育機関として半国立大学として独自に運営されている。

 

日本のAPUは立命館大学の経営により設立された日本の私立大学。

 

このように、両校は名称が似ているものの、教育内容や目的、設立背景が大きく異なります。

 

 

 

 

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるハイブリット学習塾/未来義塾の塾長。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。