アトランタで大工をしていた私が、なぜ塾の先生になったのか?【MORITA物語⑤】

 

前回の続きです。

 

アトランタで大工をしていた私が、なぜ塾の先生になったのか?【MORITA物語➃】

 

毎週水曜には、ダウタウンにあるNorth Avenue Presbyterian Churchの無料英会話クラスで英語を習い。

 

そこで出会った医者や弁護士、そして教師たちのボランティアに、生きた英語を教えて貰ったのは貴重な体験でした。

 

仕事を終えて、そのまま棟梁がトラックで教会の前でおろしてくれる。

 

正直、上から下まで泥だらけの服装のまま。

 

着替える時間なんてありません。

 

 

 

 

日本から持っていった地下足袋をはいていたので、よく子供達から忍者シューズなんて言われていました。((笑))

 

教会の玄関の前で、パンパンパンと泥と埃を払い落とすだけで、教室に向かうんです。

 

私は、汚い格好なんですが、先生達はネクタイにジャケット姿。

 

でもちっとも嫌な顔をせず、暖かく迎え、「お腹が空いてるだろう?」なんていってドーナツとコーヒーでもてなしてくれる。

 

最初は、雑談してて、笑う声が教室の中で満たされてから、レッスンがスタート。

 

 

 

日本でなく、学校という教育機関ではなく、

 

アメリカで、それも教会で、全くの知らない人達の善意の中で、再び生徒になった25歳の私。

 

そこは、衝撃の連続でした。

 

黒板も、辞書も、テキストもなく、

 

文法も、単語の綴りも、フォニックスも何も無い。

 

いわゆる私が日本で受けてきた英語教育なんか、全否定されちゃう環境でした。

 

まるで、あの星一徹がちゃぶ台をひっくり返す感じの衝撃((笑))

 

例えば、

 

先生が、GQ(男性向けファッション・カルチャー雑誌)を持って来て、数ページをめくって、ジョージ・ロイ・ヒル監督の映画「明日に向って撃て!」広告だったかな?、そのページには、ポール・ニューマン、ロバート・レッド・フォードの二人がカーボーイ姿で立っているモノクロ写真が掲載されていて・・・その写真を私に見せながら、先生がこう質問してくるんです。

 

What do you think of the guys in this photo? Tell me your impression.

 

それで、私が・・・

tough guys
33年前のMORITA
33年前のMORITA

なんて答えると・・・

Good. So what is a tough guy? Please tell me more.

 

といった具合に、テキストがGQという男性雑誌だったり、もうフリートークガンガン。

 

辞書も無いも使えないし、気付いたら身振り、手振りで全身で伝えようとしている自分がそこにいました。

 

自分でも明らかに会話が出来るようになっていく手ごたえみたいなものを、行くたびに感じていました。

 

アメリカにいれば、それだけで英語環境にどっぷり浸ることになるわけです。

 

大工仕事での同僚との会話、現地でのテレビ鑑賞、マクドナルドでの注文、町中の広告など、

 

アメリカンカルチャーに触れることで新しい単語を吸収したり、言葉への理解を深めることができます。

 

でも、私の周りにいた商社の仕事で来ていた日本人やその家族、

 

そして留学生でも全然英語が話せない人達はゴロゴロいました。

 

じゃ、私はなぜ?

 

日本の学校では考えられない、教会で、それも素人のボランティアの先生達の指導で、

 

なぜ話せるように上達しているのか?

 

そんなことを考えていて、徐々に教えること、教えられることについて凄く興味を抱くようになりました。

 

そう、わたしの教育に対しての関心が成長し始めたのです。

 

そして、反面、仕事場では、こんな刺激的な人達とも出会うことになります。

 

 

次が最終回です。

 

つづく

 

 

MORITA先生のベストヒットUSA

今日で3回目の「MORITA先生のベストヒットUSA」。Bruce Hornsby and the Rangeの1986年にリリースした、「The Way It Is」。繊細で鮮烈なピアノのフレーズと社会にはびこる偏見や人種差別に立ち向かう歌詞が印象的だ。「1964年、ある法律が成立した/これまで恵まれなかった人々を救うため/だが、ただそれだけのこと/法律は人の心までは変えられない」是非歌詞を味わいながら聞きたいメッセージ・ソング。1964年は私が生まれた年であり、アメリカで公民権法が成立した年でもある。この曲を聞くと、「I have a dream.」を思い出す。

 

 

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるハイブリット学習塾/未来義塾の塾長。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。